簡単に生活保護に落ちてしまう日本の現状

 先日私の患者さんが「生活保護になってしまいました。」と駆け込んできました。この方は本当にごく普通の50代の主婦です。歯科治療希望でしたが、当院は指定にはなっていないので、歯科医院を紹介しました。更年期障害で婦人科にも通っているとのことでしたが、精神的にも不安定でした。
 この日はお話を伺い、心療内科への受診が必要だと思いましたが、婦人科で精神的なフォローをしてくれる、近くの総合病院をインターネットで探し、紹介状を書いてお渡ししました。後日病院から経過が送られてきましたが、私が思っていたのと同じ診断でした。
 数日たってこの方がお見えになり、田舎から送ってもらったという、お蕎麦とリンゴジュースをいただきました。顔色も良くなり落ち着きを取り戻したようでした。こういったことがきちんとできる方が、生活保護に簡単に落ちてしまう現状が今の日本にはあります。
 一向に進まない消費税議論ですが、たとえ消費税が北欧諸国のように25%であっても、安心して住める国がいいと思うのは私だけでしょうか?この方も生活保護取得にあたりさんざん「働けるでしょう」と嫌みを言われたそうです。セーフティーネットは機能していません。
 歯科医師は、病気の治療が終わってしまえば患者とはそれっきりになってしまう他科の医師とは違い、長期にわたり患者さんを診ていくことになります。今回の場合でも怠け者なのか、まっとうな人なのかもよくわかっています。そのため適切な対応ができるのではないかと思います。
 歯科医師過剰時代で、大学では定員割れも起こっていますが、こう考えれば歯科医師の職域は広く、歯科医師が臨床心理学、精神医学を学ぶ意義は大きいと思います。仕事としては個体を長期にフォローできるという意味では歯科は面白い仕事だと言えます。 
 
 

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