診療室にレコードプレーヤーがやってきました。

 レコードをかけようとプレーヤーを探していたところ、私の患者さんで解体業のHさんが解体のときに拾ってきたDJ用のプレーヤーをくれました。このプレーヤーと古いレコードもたくさんいただきました。
 家からアンプとスピーカーを持ち込み、かけてみると良い音がします。内袋と外袋を通販で買い、中と外をきれいにし、きちんと並べました。診療室のサロンにおいてありますのでいらしたときにぜひご覧ください。
 Hさんは本当に人生を楽しんでいます。毎日宝探し、適度に運動になり、仕事が面白くて仕方ないと言います。いつもにこにこして診療室にやってきます。離婚していますが子供は成人し、一人暮らしを楽しんでいます。
 私は縁あって、日本のトップで活躍している実業家や政治家、ジャーナリスト、大学教授と話す機会があります。その中には意外と幸福でない人も多いのです。しかしHさんのような生き方をしている人を見ると、幸せとは何かと言う事を考えさせられます。
 私はどちらかと言うと、Hさんのように生きていたいと思います。年齢は同じくらいですが人生の師匠と言ったところでしょうか、レコードはCDと違い、雑音が入ったり、針が飛んだりしますが、それが味になっています。
 古いものは中古品で価値がなく、汚いものと言う考え方もありますが、エージングはひとつも魅力です。古いワインは?1000年前の普通に使っていた名もない茶碗は?無名の画家の描いた絵は?これらは驚くほど高額で取引されている物もあります。
 Hさんは事業で成功したわけでもなく、学問で成功したわけではありません。さらにレコードのように傷つくこともあったでしょう。しかし人生をしっかり生きていて、私には彼の人生が光り輝いて見えるのです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする