9月24日吉村昭著『ポーツマスの旗』再読

ポーツマス
 私が中学生の時に、社会の教科書に小村寿太郎の名前が出てきた事を覚えています。
 教科書には<日清戦争に勝利したが、全権大使小村寿太郎がポーツマス条約で日本が賠償金を得ることができなかったことから、苦しい生活にたえてきた国民は、これをふまんとして、東京では、民衆と警察が衝突し、警察などへの焼き打ち事件がおこった。>と言った記載があったと記憶しています。私には小村は無能な外交官との印象があったと記憶しています。
 しかし現実は全く逆で、物資の面で日本がこれ以上ロシアとの戦争継続ができない中、小村は結果が分かっていて、誰もが行きたくないポーツマス講和会議に臨みます。アメリカへのロビー活動やルーズベルト大統領への働き掛け、諜報活動、暗号文章を駆使し、日本を欧米の列強国から守っていきます。条約締結後は暴徒化した国民によって小村は家族と別居、国民との情報量の違いが生んだ悲劇、それだけに中学生、高校生に読んでもらいたい作品です。
 

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